MLBの日記

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田中の時間

最悪のスタートを切った今シーズン。嬉しい嬉しい初勝利だ。

コロナ禍で調整が難しい上に、目を覆うアクシデントにも見舞われた。

もちろん、打ったほうの心中もお察しする。

それにしても、よりにもよってジャンカルロ・スタントンである。フライボール革命の昨今でも、ボールを叩き潰すように打つパワフルな打球は、怪物ぞろいのメジャーリーガーの中でも、別格。

2015年から導入されたスタッドキャストにおいて、Exit Velocity(打球速度)のメジャー最速は、2017年のシングルヒットでの122.2mph(196.6㎞)。そして、120mph越えを、最も打っているのもスタントンであり、数字の上では、世界一打球の速い男なのだ。

ちなみに、120mph越えを果たしているのは、アーロン・ジャッジとゲイリー・サンチェスだけだ。3人とも、ヤンキースというのも興味深い。

少々脱線してしまったが、これを受けて、今のところだが、無事でいられる田中も流石にタフである。

 

 

 

現地1日(日本時間2日)、本拠地ヤンキースタジアムでのレイズ戦に先発登板。

今季8戦して、ビジターでの1勝のみ。

昨オフに投手史上最高額となる9年総額3億2400万ドル(約340億円)で加入したゲリット・コールでさえ、前日に5回を8安打4失点2本塁打と、その勢いを止められなかった。

スタントン、ジャッジの2大砲は、IL(故障者リスト)入り、常人離れしたパワーを誇り、それぞれ198㎝と201㎝の大柄な体躯ゆえに、とにかく怪我が多い。

2人がチームメイトになった2018年以降、ヤンキースが行ったレギュラーシーズンの351試合中、揃って出場したのは、たった136試合(39%)だというから、落とした得点の多さを想像すると、頭が痛い。

首位を奪いかえすためにも、負けられない一戦である。もうビッグゲームピッチャー田中しかいないと、大きな期待がかかっていた。

リーグNO.1の得点力(191点)と出塁率(.336)を誇るレイズ打線は、右腕対策に、左打者を7人並べたが、意に介さない投球術を披露してくれた。

特に内角膝元に食い込むスライダーは絶品で、外角には、バックドア(外角ギリギリに入ってくる球)で、左打者を翻弄。速球は高めに見せ、低めで凡打の山を築いた。

スプリットにキレがないこともあったのだろう、実に半分近くがスライダー(48%)だった。

5回を投げ切り、自ら続投を志願し、今季最長の6回88球を投げて、3安打2失点7奪三振と好投。実に348日ぶり、6先発目にして今季初勝利を挙げた。

筒香嘉智との対戦は二ゴロ、三ライナー、通算でも6打数0安打に封じた。

頭部に打球により、慎重にならざるを得ない今季の投球数は、51→59→66→71→66球と徐々に増やし、88球。100球も視野に入ってきた。

 

 

打のヒーローは、DJ・ルメイヒュー。静かなリードオフマンがチームの窮地に奮起。

淡々と、いつも安定している。守備は上手いし(ゴールドグラブ賞3回)、広角に打てて、右も左も苦にしないし、怪我も少ないし、地味だけど本当に良い選手。

試合数は少ないながら、打率は驚異の.402だ。 

 

 

喫した2失点は、勝利投手の権利がかかった5回。

先頭のウィリー・アダメズにエンタイトル二塁打を許すと、続く、センターの名手ケビン・キアマイアーに痛恨の同点2ランを浴びる。

スライダー2球で追い込んで、悔やまれる1球。3球続けるなら、甘くなってはいけないスライダーだった。キアマイアーも実に巧く打った。

 

 

田中が降板した6回裏に打線が一挙3得点。

ジオバニー・ウルシェラが最高の仕事。勝ちをつけてくれて、感謝感激雨あられだ。

昨季、打率 .314・21本塁打とブレイクした遅咲き28歳のジオは、ルメイヒューよりも更に地味だが、安定感抜群の守備で、正に縁の下の力持ち。名門のバランサーだ。

 

改めて勝ち投手の権利が転がり込み、ブルペンもリードを保ってヤンキースが勝利。

 

 

クリント・フレージャーが好捕。

打球判断が悪く、怪しい守備を頻発させていたが、負の連鎖から脱出できたようだ。

 

 

 

ア・リーグ東地区の首位レイズとのゲーム差を3.5ゲームとしたヤンキース。直接対決は、あと1試合のみ。短いシーズンであり、試合内容を見てもレイズに分がありそうだ。

 

 

 

 

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