MLBの日記

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脱出

現地6月9日。

エンゼル・スタジアム。

泥沼の14連敗。1988年の最終12連敗と89年の1敗で、計13連敗が球団ワースト記録だった。

衝撃が走ったのは、12連敗時点での、ジョー・マドン監督の電撃解任。耳を疑った。

チーム最多14本塁打マイク・トラウトが股関節。

OPS長打率+出塁率)1.087はチームno.1、ようやく覚醒したドラ1、

テイラー・ウォードがハムストリング。

アンソニー・レンドンが手首。上位打者が軒並み離脱。

最悪のチーム状況を打破できるのは、やはり今季10度目の登板となる「2番・投手」

大谷翔平だった。

 

 

連敗ストップに闘志を漲らせた大谷は、初回を11球で三者凡退で最高のスタート。

 

制球が良いわけではなかったが、腕を振った。ストレートの平均球速は98,1マイル(約157,9km)、今季の平均球速を1マイル(約1,6km)上回った。その分、カッター、スライダー、カーブは効き目充分で、特に序盤のスプリットは素晴らしかった。

 

5回。無死一・三塁のピンチを招き、犠牲フライで1点を奪われるも、

その裏。1死一塁で迎えた大谷の第3打席、3球目、高めのストレートだった。

今季12号となる逆転2ランで流れを呼び戻す。カウボーイハット・セレブレーションでの引き締まった表情は、その後の油断を感じさせない逞しさがあった。

エンゼルスにとって19イニングぶりとなる得点だった。

 

6回。9番アンドリュー・ベラスケスがダメ押し3ラン。

複雑。打たれたのは、2番手澤村拓一。無死一・二塁のピンチで登板し、2つのアウトまで取った場面。

メジャーキャリア5年目で3本塁打、打率1割台の選手と甘く見たか。クリスチャン・バスケスのリードはそう見えた。バットとボールがかなり離れた、全く合っていなかったスプリット2球で追い込んでいた。同じ球で三振かゴロ。相手が強打者なら、慎重を期すなら、そうなるはず。前の打者から7球連続でスプリットを投じた後で、高めに投げ切るのは難しい。

 

8回。ライアン・テペラが1失点するも、9回をライセル・イグレシアスが3人で締めて、連敗を14でストップさせた。

 

大谷は、今季最速101マイル(約162.5km)を投げるなど、躍動。

7回を100球投げ、4安打、2四球、6三振、1失点の好投。自身5試合ぶりの白星となる4勝目を挙げた。

昨年8月18日以来の本塁打と勝利投手の同時達成。二刀流の真骨頂を発揮した。

 

粋な大谷は、監督になって記念すべき初勝利を祝い、ネビン監督代行にウイニングボールをプレゼントすることも忘れなかった。

 

エンゼルスに暗雲が立ち込めている。ペリー・ミナシアンGMである。

ジョー・マドンの驚きから分かるのは、突然の解任ということ。コミュニケーションが取れておらず、関係が良くなかったことは容易に想像できる。フロントと監督がチームの方針について意見が食い違うことはどのスポーツでも良くあることだが、強くなっていくチームは基本、オーナーが気前良く金を出し、現場の声を尊重する。それが稀代の名将なら尚更だ。

連敗中に当たったチームは、ア・リーグ東の猛者と強打フィリーズ。苦戦は必至だった。主力怪我人を出しながら、打てず打たれの展開は手の施しようがなかった。采配が悪い印象はなく、むしろ、こんな悪夢が続くことが全く想像できないほど上手くやっていた。

ベースボールへの理解が深く、親ほど離れた年齢の大先輩に対して、敬意を欠いた行いだ。投手陣の強化は良いが、選手選びと金の使いどころが上手いとも思えない。ミナシアンの手腕は大分怪しい。

これだけ負けてもまだ2位。唯一貯金があるアストロズ1強の西地区は、4強1弱の同リーグ東とちょうど真逆の関係にある。ポストシーズンに行けたとしても、上に行く想像が出来ない。

残念だ。これから巻き返し、大舞台で指揮を執るマドンが見たかった。

 

 

 

 

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