MLBの日記

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ワイルドカードシリーズ

2012年シーズンから導入され、2021年のシーズンまで行われた一発勝負のワイルドカードゲーム制度が終了。

2022シーズンからは、3試合制の「ワイルドカードシリーズ」が新たに導入され、ワイルドカードが1枠増加された。

レギュラーシーズンの順位によるアドバンテージは大きくなった。選手の負担は大きくなり、ディビジョンシリーズ(地区シリーズ)をホームで待つチームの優位性が増し、番狂わせの確率は低くなるのかもしれない。

 

現地7日。ナ・リーグワイルドカードシリーズが開幕し、記念すべき第1戦。

ナ・リーグNo.1クオリティスターター(30登板中25QS・83.3%)ダルビッシュ有が先発登板。

夏の大補強がありながら、いまいち盛り上がらないのは、タティースJr.の薬物違反による80試合出場停止だ。心待ちにしていた2021本塁打王の帰還がなくなってしまったダメージは特大。プロ意識は何処に捨ててきたのか。チームの顔になる男が、バイクで事故った怪我の後に何たる体たらく。

この大きな穴を埋めるキム・ハソンは良くやっている。打率.251、打点59、盗塁12とメジャー2年目で飛躍した。守備に安定感があり、意外にムードメーカーだ。

 

注目は、夏にやって来たフアン・ソトだ。メジャーで最も四球選べる眼は、大舞台でもスランプを起こしにくい。

2019シーズン、若干20歳にしてワシントン・ナショナルズで球団史上初のワールドシリーズ優勝という経験値があり、しかも21歳以下の歴代最多ポストシーズン5本塁打、史上最年少でワールドシリーズ3本塁打と大貢献している。

 

 

投げ合う相手は、サイ・ヤング賞に3度輝く右腕マックス・シャーザー。今季、左脇腹を痛めて2度の故障者リスト入りがあったものの23試合で11勝5敗、防御率2.29と好投。ポストシーズンでも安定感は抜群、過去26試合に登板し通算7勝6敗、防御率3.22。

 

過去ポストシーズンでは、7試合登板し、2勝5敗、防御率5.18と苦戦。しかし、身体造りを間違えて、固くなっていた頃の数字で当てにならない。

メッツ戦はこれまで8試合登板し、5勝0敗、防御率2.56。今季も2戦2勝。レギュラーシーズンでは、全く同じシュチュエーションでも勝っている相性の良い相手になるが、ポストシーズンは別物だ。

「あまり体は動いてなかった」

本人が語ったように、ダルビッシュは疲れているようだった。当然のことだ。フルシーズン、ローテを守り抜き、36歳にして194.2投球回も投げたのだ。絶対に負けられないプレッシャーも重くのしかかる。

序盤はピンチの連続だった。球威や制球は良くなくても、緩急を上手く使い、相手の裏をかいた。粘投だった。

7回101球を投げ、6安打4奪三振。5回にエデュアルド・エスコバーにソロ本塁打を浴びた1失点のみでポストシーズン自身5年ぶりの白星を飾った。シティ・フィールドにメッツファンの大歓声やブーイングが響く中、集中を切らさず、自身のプランを遂行した。

 

 

初回に、ジョシュ・ベルの一発で2点を先制。これが大きかった。

2回に、トレント・グリシャムのソロ。

5回には、ジュリクソン・プロファーが3ラン、マニー・マチャドのソロと2発を放ち、計4本塁打で7点を奪い、シャーザーをマウンドから引きずり落した。 

ポストシーズンで4被弾は自己最多。ESPNスタッツによると、ポストシーズンで4被弾を含む7失点を喫したのは、1939年のワールドシリーズでレッズのジーン・トンプソンが喫して以来、史上2人目だという。

シャーザーも身体が重かった。球速もスライダーのキレも、彼本来のモノではなかった。

7回にトレーナーがマウンドに行った場面は、右足親指の側面から流血していたという。「マウンドがすごく硬くて、2回くらいから我慢して、最後の方はスパイクにも血が出ている状態で、痛みと戦っていた」と明かした。

何という精神力だろう。想像を絶する。

長いキャリアの中でも、ここ2.3年がベースボールに一番向き合っているのではないだろうか。生活のすべてを捧げなければ、如何なるポテンシャルを秘めていようとも、こんなに凄いことは出来ない。

ティースは、最高のお手本が間近にいる幸運に気が付いているだろうか。

 

 

 

 

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