テイラー・トランメル
まだ序盤であるもののシアトル・マリナーズは、予想に反して善戦している。
若手中心で再建中のチームは、粘り強く、接戦をものにしている。
2019年、大砲エドウィン・エンカーナシオン、ジェイ・ブルース、ドミンゴ・サンタナを擁して、打ちまくっての開幕ダッシュとは違い、丁寧で内容が良い。
アメリカンリーグ西地区の勢力は、均衡してきている。面白くなりそうだ。
現地4月29日。
敵地ミニッツメイドパークでのヒューストン・アストロズ戦。
4連戦を3連敗で迎えた最終戦。菊池雄星がスウィープ阻止に燃えていた。
Last one before we head home. pic.twitter.com/XPzowGQd0j
— Seattle Mariners (@Mariners) April 29, 2021
防御率は5.70。
今季5回目となる先発登板も、いまだ未勝利。
しかも相手は過去6試合の対戦で0勝2敗、防御率6.46と天敵である。
ジェームズ・パクストンはトミージョン手術で今季絶望、試合前には開幕投手のマルコ・ゴンザレスが負傷者リスト入り(IL)。プレッシャーもかかった。
援護点を期待したい試合で、主軸ミッチ・ハニガー、昨季の新人王カイル・ルイスが休養で打線から外れた。
いいイメージが出来なかったが、
震えるほど素晴らしかった。
まず気になったのは、フォーム。代名詞ともいえる投げた後に左足を振り上げる躍動感が無くなったが、コンパクトにまとめ、力感も減らした。それによって課題だった制球を安定させたように見えた。
最速96.4マイル(約155キロ)の速球、カットボール、スライダー、チェンジアップを投げ分け、強打アストロズ打線を封じた。
明らかなストライクをボール判定され、フォアボールで出塁させても動じなかった。
6回は三者連続三振。
7回に、この試合唯一、カルロス・コレアに二塁打を許したのみで、終始崩れることはなかった。
7回を95球、被安打1、与四死球2、奪三振7、無失点で1勝目(1敗)。
防御率4.40、WHIP1.14となった。※(与四球 + 被安打) ÷ 投球回=WHIP
際立ったのは、昨年から投げ始めたカットボール。
今季の全投球で最も多い38%を占め、制球力も向上してきた。見逃しと空振りを含め、21個のストライクを奪った。
Okayyyy, Yusei 🔥 pic.twitter.com/kj40cWvwAb
— Seattle Mariners (@Mariners) April 29, 2021
これぐらいは普通とばかりに、表情は一切変わらなかった。
3回。テイラー・トランメルが先制点で決勝点となるソロホームランを放ち、
Game-winning HR ✅
— MLB (@MLB) April 29, 2021
Game-ending catch ✅@Taytram24 is must-watch. pic.twitter.com/ARYBz60uHC
最後もトランメル。良い顔だ。
マイナーリーグのオールスターである2018フューチャーズゲームでMVPに輝いた23歳は、4月1日の開幕戦でメジャーデビューしたばかり、シアトルの起爆剤となれるだろうか。
マリナーズは、4連敗を脱したことだけではない。
ここ3年間、敵地アストロズ戦では蛇に睨まれたカエルのようだった。この日まで20試合して1勝19敗。
物凄い価値のある勝ちだったのだ。
菊池のベストピッチといえば、メジャー1年目の8月18日、敵地トロント・ブルージェイズ戦での9回2安打完封勝利だったが、それよりも良かったように思う。
majorleaguebaseballfun.hatenablog.com
イチローがメジャーデビューし、大魔神佐々木が閉め、年間116勝のMLBタイ記録を樹立して地区優勝した2001年以来、プレーオフから遠ざかること19年。4大スポーツで現在ワースト記録更新中の弱小軍団だ。
ポストシーズンで菊池が見たい。
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